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2019年10月

2019年10月19日 (土)

子宮蓄膿症について

こんにちは!

みなさま台風の影響は大丈夫でしたか?💦

急に寒くもなり、人もペットちゃんも体調が崩れやすい時期かと思いますので、

お気をつけてお過ごしください😞

 

 

今回は、『子宮蓄膿症』について紹介していきたいと思います。

 

子宮蓄膿症とは、細菌感染によって子宮内に膿が溜まりソーセージのように子宮が腫れてしまう病気で、

避妊手術を行っていない女の子のわんちゃん🐶で多く発症する病気です。

ねこちゃんでも発症しますがわんちゃんに比べて発症率は低いといわれています。

 

子宮蓄膿症は細菌が産生する毒素が原因で重篤な症状を引き起こし、早急に治療を行わないと命に関わります。

正常な場合と、子宮蓄膿症の場合の子宮のイメージ図です↓

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最近、当院でも子宮蓄膿症で手術・入院をしたわんちゃんが多かったので

・避妊手術をしていないわんちゃんを飼われている方

・女の子のわんちゃんをお迎えして避妊手術をしようか迷っている方

には特に、この病気の事を知っていただきたいと思います!

 

 

 

【原因は?】

子宮蓄膿症は細菌感染によって起こります。

感染が起こる理由はホルモンが影響しています。

子宮蓄膿症は黄体期に発症することが知られていて、

発症には黄体ホルモン(プロジェステロン)が関わっていることがわかってきています。

 

ここで、発情周期について簡単に紹介します。発情周期は図のように4つの期間に分かれます。

 

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①発情出血がはじまると同時に発情前期がはじまります。

②雄犬の交尾を許容するようになる期間を発情期といい、

この期間の約3日後に排卵が起こります。排卵が起こると卵胞が黄体化し、プロジェステロンが分泌されます。

③発情期の終了から黄体が退行するまでの期間を発情休止期といいます。

④黄体が退行してから、次の発情出血があるまでを無発情期といいます。

避妊手術を受けた子は常にこの無発情期です。

 

 

プロジェステロンは妊娠の準備や維持に関わるホルモンで、

赤ちゃんが子宮内で育ちやすい環境を用意してくれます。

しかし、この時期に子宮内に細菌が侵入した場合細菌を育ててしまい、この病気が引き起こされます。

 

猫は基本的に交尾排卵動物といい、交尾が行われないと排卵が起こらないため

黄体期に起こりやすい、この病気は少ないとされています。

それに比較して犬では発情周期の中に必ず黄体期が存在するので、

子宮蓄膿症が発生しやすいというわけです。

 

子宮蓄膿症を早期発見する為には発情出血がはじまって約2ヶ月間(黄体期)注意、観察する必要があります。

特に黄体期の終わり(黄体退行期)が最も発症しやすい時期といわれています。

 

またホルモンのバランスが崩れた時に起きやすいので、

しばらく発情出血がなかったのに久しぶりに出血があった場合は特に注意が必要です。

 

 

【症状とは?】

一般的な症状として、

食欲低下

発熱

多飲、多尿

嘔吐

腹部膨満   がみられます。

場合によっては陰部から膿が出たり、出血が続いたりすることもあります。

 

 

【診断のしかたは?】

未避妊の女の子であることや、症状を確認した後に

・超音波、レントゲンでの画像検査

・血液検査   

を行います。

 

画像検査では肥大した子宮を確認します。

血液検査では白血球の激しい増加が多くの例で見られます。

 

 

【治療法は?】

その後赤ちゃんを望むことはできないですが、手術で卵巣・子宮を摘出してしまうのが最も一般的です。

全身状態が悪い場合は、抗菌剤の投与と輸液療法により体力の回復を待ってから手術を行うこともあります。

 

黄体期を終わらせるお薬で膿を排出させる、という内科的な方法もありますが、

治療に時間がかかったり、よくなっても次の発情の際にまた子宮蓄膿症を起こしてしまうことも多いようです。

 

 

 

【予防法は?】

一番の予防法は避妊手術をしてあげることです。

避妊手術は子宮蓄膿症だけでなく乳腺腫瘍の予防にも有効なので、

出産の予定がない場合、初回発情前の手術をおすすめしています。

 

避妊手術をしていない子については、発情出血がいつから始まり、

終わったのはいつかなど、きちんと記録をし、

いつもと違うところはないかなど、

体調をしっかりと観察してあげてください✨

特に久しぶりに発情が起こった時は要注意です。

 

ご不安な点などあれば、お気軽に病院までご連絡ください!

山田

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